メキシコの労働時間【2026年版】法改正で週40時間へ|日本との違いも解説                               

メキシコの労働時間について、駐在・出張・進出を検討中もしくはすでに滞在しているビジネスパーソン向けに、法律上のルールから2026年の憲法改正、日本との違いまでを整理します。

メキシコの法定労働時間は、連邦労働法(LFT)により昼勤で1日8時間・週48時間と定められています。
2026年3月3日に公布された憲法改正により、2027年から毎年2時間ずつ削減され、2030年に週40時間となる予定です。
残業は現行法で週9時間まで(2倍賃金)、改正後は週12時間まで(超過分は3倍賃金)に変わります。
OECD 2023年データではメキシコの年間労働時間は約2,207時間で、加盟国中トップとなっています。

本記事の根拠について
現行法の記述はメキシコ連邦労働法(Ley Federal del Trabajo / LFT)の条文番号に基づいています。
2026年の改正情報は、連邦官報(DOF)の公示内容をJETROビジネス短信およびLa Jornada紙の報道から確認しています。統計データはOECD 2023年公表値です。

先に結論:メキシコの労働時間はどれくらい?

①法定労働時間は「週48時間」→ 2030年までに「週40時間」へ

まず結論を表にまとめます。
メキシコの労働時間の「現行ルール」「改正後」「日本との比較」を一覧で確認してください。

項目メキシコ(現行法)メキシコ(2030年〜)日本
週の法定上限48時間40時間40時間
1日の上限(昼勤)8時間二次法で確定予定8時間
残業上限週9時間週12時間月45時間 / 年360時間
残業割増2倍(超過分3倍)2倍(超過分3倍)1.25倍〜
年次有給(1年目)12日12日10日

現行法では日本より週8時間多い48時間ですが、改正が完了する2030年には日本と同じ週40時間になります。
ただし、2026年中は現行の48時間がそのまま適用されます。

②実態 — OECD加盟国で年間労働時間トップクラス

法律上の上限だけでなく、実態としてもメキシコの労働時間は長い傾向にあります。
OECDが公表した2023年のデータでは、メキシコの年間労働時間は約2,207時間で、OECD加盟国の中でトップです。

年間労働時間(2023年)
メキシコ約2,207時間(1位)
日本約1,611時間
アメリカ約1,799時間
ドイツ約1,343時間(最少)

メキシコと日本の差は約596時間で、8時間勤務に換算すると約75日分に相当します。なお、2018年時点では約2,258時間だったため、減少傾向にはあるものの依然としてトップを維持しています。

ポイント:法定時間が長いだけでなく、週休1日の企業が多いこと、土曜出勤が一般的であることも、実態として年間労働時間が長くなる要因とされています。

メキシコ労働法の労働時間ルール(現行法)

メキシコの労働時間は、連邦労働法(Ley Federal del Trabajo / LFT)で細かく定められています。
日本と大きく異なるのは、「昼勤」「夜勤」「混合」の3シフト制で法定時間が変わる点です。

①3つのシフト区分(昼勤8h / 混合7.5h / 夜勤7h)

LFT第60条・第61条により、3つのシフト区分(jornada)が定められています。

シフト時間帯1日上限週上限根拠
昼勤(jornada diurna6:00〜20:008時間48時間LFT 60条・61条
夜勤(jornada nocturna20:00〜6:007時間42時間LFT 60条・61条
混合(jornada mixta昼夜混合(夜3.5h未満)7.5時間45時間LFT 60条・61条

夜勤にあたる時間帯が3.5時間以上になると、混合勤務ではなく夜勤扱いとなります(LFT第60条)。
また、勤務中には1日最低30分の休憩が定められています(LFT第63条)。
職場から離れられない場合、休憩時間も労働時間に算入されます(LFT第64条)。

②週の法定上限と休息日のルール

週の休息日について、LFT第69条・第71条では「週1日以上の休息日を与えなければならない(できる限り日曜日)」と定められています。

  • 日曜労働:日当+25%の手当(LFT第71条)
  • 休日労働:日当+2倍 = 合計3倍の賃金(LFT第73条)
  • 祝日労働:日当+2倍 = 合計3倍の賃金(LFT第75条)

法定祝日はLFT第74条で年間8〜9日と定められています。

③残業の上限と割増賃金(現行:2倍 / 超過:3倍)

現行法での残業ルールは以下のとおりです。

項目ルール根拠
1日の上限3時間LFT 66条
週の頻度上限3回までLFT 66条
週9時間以内の割増2倍賃金(100%割増)LFT 67条
週9時間超過分3倍賃金(200%割増)+罰金LFT 68条

日本の残業割増が1.25倍〜であるのに対し、メキシコでは最低でも2倍、超過分は3倍と割増率が高い点が特徴です。また、労働者には残業を拒否する権利があります(LFT第68条)。

2026年の労働法改正 — 何が変わるのか

2026年3月3日、メキシコ政府は週の労働時間を48時間から40時間へ段階的に引き下げる憲法改正を連邦官報(DOF)に公示しました。同日施行されています。

①憲法改正の概要(週48h→40h)

今回の改正では、憲法第123条A項のIV号(労働時間)とXI号(時間外労働)が変更されました。
23の州議会の承認を経て、上院が改正を宣言しています。

2025年12月3日:改正案を上院に提出
2026年2月11日:上院可決(賛成103・反対15)
2026年2月25日:下院可決(賛成411・反対58)
2026年3月3日:連邦官報(DOF)に公示 → 施行

あわせて、改正により労働時間の短縮によって労働者の給与・賃金・手当を減額することは明確に禁止されました。

En ningún caso la reducción de la jornada laboral implicará la disminución de sueldos, salarios o prestaciones de las personas trabajadoras
(いかなる場合も、労働時間の短縮により労働者の給与・賃金・手当が減額されてはならない)

②段階的移行スケジュール(2027〜2030年)

週40時間への移行は一度に行われるのではなく、以下のスケジュールで段階的に進みます。

週の法定上限備考
2026年48時間現行のまま
2027年46時間削減開始
2028年44時間
2029年42時間
2030年40時間改正完了

注意:2026年中は現行の週48時間がそのまま適用されます。
「2026年から40時間になる」という情報は正確ではありません。
実際の週40時間適用は2030年からです。

③残業規制の変更(週12時間上限)

憲法第123条XI号の改正により、残業に関するルールも変更されました。
DOF公示内容をもとにした報道では、以下のように記載されています。

El trabajo extraordinario no excederá de 12 horas en una semana
(時間外労働は週12時間を超えてはならない)

項目現行法改正後
週の残業上限9時間(1日3h×週3回)12時間(1日4h×最大4日)
通常残業の割増2倍賃金2倍賃金(変更なし)
超過分の割増3倍賃金3倍賃金
18歳未満の残業制限あり完全禁止(新設)

残業上限の解釈について
STPS(労働省)は「週16時間まで可能(12時間は2倍、13〜16時間は3倍)」と解釈していますが、法律専門家からは「憲法条文上は12時間が上限」との反論があり、見解が分かれています。詳細は今後の二次法(連邦労働法改正)で確定する見通しです。

④日系企業への影響

メキシコに拠点を持つ日系企業にとっては、段階的な法定時間の短縮にあわせて、以下のような見直しが必要になるとされています。

  • 勤務シフトの再設計:週46時間(2027年〜)に対応するシフト構成の検討
  • 人件費の見直し:労働時間は短縮されるが、給与の減額は禁止されている
  • 残業管理の厳格化:超過残業の3倍賃金ルールへの対応
  • 二次法の動向確認:2026年6月頃までにLFTの改正内容が確定する見込み

なお、改正後のシフト別の1日上限時間(昼勤8h / 夜勤7h / 混合7.5hの扱い)は、今後の連邦労働法改正で明確になる見通しです。現時点では具体的な変更内容が確定していないため、二次法の公布を注視する必要があります。

日本との違い(比較表)

①法定労働時間・残業・休日の比較

日本の労働基準法とメキシコの連邦労働法の主な違いを比較表にまとめます。

項目メキシコ(現行)メキシコ(改正後)日本
週の法定上限48時間40時間40時間
残業上限週9時間週12時間月45時間 / 年360時間
残業割増(通常)2倍(100%割増)2倍(100%割増)1.25倍以上
残業割増(超過)3倍(200%割増)3倍(200%割増)1.5倍以上(月60h超)
休日労働3倍(200%割増)3倍(200%割増)1.35倍以上
日曜労働25%割増25%割増特段の定めなし
深夜割増定めなし(夜勤は法定時間が短い)同左1.25倍(22〜5時)
年次有給(1年目)12日12日10日

ポイント:メキシコの残業割増率は日本より大幅に高く、超過残業は3倍です。
一方、残業の上限は「週」単位で管理される点が日本の「月」単位と異なります。

②知っておくと役立つ文化的な違い

法律上のルールだけでなく、職場の文化にも違いがあります。
メキシコで実際に働いた方々の声をもとに、よく挙げられる特徴をまとめました。

  • 家族優先の文化:子連れ出勤や、配偶者の体調不良を理由とした欠勤も一般的とされています
  • フラットな上下関係:年齢や勤続年数による区別が少ないという声があります
  • 長めの休憩文化:休憩が頻繁で長い傾向があり、結果的に拘束時間が長くなることがあるとされています
  • 土曜出勤:週休1日の企業が多く、土曜日も出勤するケースが一般的とされています
  • 金曜日の文化:「Happy Friday hour」として金曜日に長めのランチを取る習慣がある企業もあるとされています

最新情報の確認方法と公式情報源

2026年の憲法改正は段階移行中であり、今後の二次法改正によって詳細ルールが変わる可能性があります。
最新情報は以下の情報源で確認することをおすすめします。

  • JETRO(ジェトロ)ビジネス短信 — 日本語で読める公的機関の解説。改正動向を速報
  • ②STPS(メキシコ労働省 / Secretaría del Trabajo y Previsión Social) — 労働法の解釈・ガイドラインを発行する公式機関
  • ③DOF(連邦官報 / Diario Oficial de la Federación) — 法令の正式テキストが掲載される一次情報源

情報源によって内容が食い違う場合は、①JETRO(日本語の公的解説) → ②STPS(メキシコ政府の公式見解) → ③DOF(法令の正式テキスト)の順で確認することをおすすめします。なお、二次法(連邦労働法の改正)は2026年6月頃までに公布される見込みです。

よくある質問

メキシコの労働時間は本当に世界一長いですか?
OECD 2023年のデータでは、メキシコの年間労働時間は約2,207時間で加盟国中トップです。日本(約1,611時間)と比べて約596時間(約75日分)長くなっています。
2026年の法改正で何が変わりますか?
2026年3月に憲法改正が施行され、週の法定労働時間が48時間から40時間へ段階的に引き下げられます。ただし2026年中は48時間のままで、実際の40時間適用は2030年からです。
残業代は日本と比べてどう違いますか?
メキシコの残業割増は最低でも2倍(日本は1.25倍〜)です。週の上限を超えた分は3倍賃金となり、日本と比べて割増率が大幅に高く設定されています。
シフト制(昼勤・夜勤・混合)とは何ですか?
メキシコ独自の制度で、勤務する時間帯によって法定労働時間が異なります。昼勤(6〜20時)は1日8時間、夜勤(20〜6時)は7時間、混合は7.5時間が上限です。
日系企業が今から準備すべきことはありますか?
2027年から段階的に法定時間が短縮されるため、シフト構成の見直しや人件費の再計算が必要になるとされています。二次法(2026年6月頃までに公布見込み)の内容を確認し、早めに対応計画を立てることが推奨されています。

まとめ:メキシコの労働時間を正しく把握し、駐在・進出に備える

メキシコの法定労働時間は現行法で週48時間ですが、2026年3月の憲法改正により2030年には週40時間へ段階的に移行します。2026年中は現行の48時間がそのまま適用される点にはご注意ください。

駐在や進出にあたっては、残業割増率の違い(日本1.25倍〜に対しメキシコ2倍〜3倍)や、昼勤・夜勤・混合の3シフト制など、日本の労働基準法とは異なるルールを把握したうえで勤務体制を設計することが重要になります。

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ご注意
本記事の法令・制度に関する記述は公開情報に基づく一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。最新の制度や手続きについては、顧問弁護士・JETRO・メキシコ労働省(STPS)に直接ご確認ください。

参考文献

参照日:2026-03-10

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